- ドアを開けていたら -

昨日の夜急に彼女が訪ねてきてさ、
しょんぼりした様子で
「寂しいから来ちゃった」なんて言うのよ。

でもちょうど風呂入ったばっかで
パンツ一丁だったからちょっと待っててもらったのね。
とりあえずパジャマ着て
頭にタオル乗せて今まで風呂入ってましたよ
アピールするような格好で玄関に向かったんだけど、
今度はいきなり女の悲鳴のようなものが聞こえたわけ。

俺びっくりしちゃって
「(彼女の名前)、大丈夫か!」なんて叫んだんだけどさ
玄関の向こうから二人の女が争ってるような声が聞こえたんだ。
ただごとじゃないと思って
チェーンロックをしたままドアを開けたら
知らない女と彼女が睨みあってた。

俺が玄関のドアを開けたことで二人とも一瞬固まったけど、
知らない女の方がすぐにニヤリと笑ったあと
「もう少しだったのになぁ…この糞女!」つって手に持ってた
百均であるようなチキチキカッターを地面に投げ捨てて帰ってったの。

ここまで約5分足らずで状況が呑み込めなかった
俺だけど彼女の一言ですべて理解できた。

「知らない女が○○の家の前にいたから
 浮気でもしてんのかと思って来た」

つまりあのとき玄関の前にいたのは彼女ではなく知らない女だったのだ。

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