- 初めての金縛り -

昨日の夜中、ふと急に目が覚めて金縛りにあった。
噂には聞いていたけど本当に目だけしか動かないんだね。

それは置いておいて、だ。
俺が寝ていたベッドの左横から急にうめき声がした。
左横は壁だし何もないはず…と思ったものの
よく考えてみれば右横の方を向いて寝ているので
左側には少しだけ隙間が空いてるはずなんだ。
ここまでは初めての金縛り体験でそれほど怖くもなく、
逆にテンションが上がってたんだけど…。

それで誰が寝てるんだろうと考える前に
そのうめき声がだんだん大きくなってきた。
最初は「うー」だったのが
「うぐぐぅ…うぅぅぅ」みたいになってきて
さすがに怖くなった俺は心の中でお経を唱えてたんだ。

するとお経が効いたのか知らないけど
ピタッとうめき声が止んだんだよね。
と思ったら後ろから何かが抱きついてきた。

香水のような匂いがしたので恐らく女が抱きついてるんだろう、と
考えていたらふっと体が軽くなり金縛りが解けたみたいだった。
金縛りは解けたが体に抱きつく女はいなくならないようで
そちらを見る勇気がなかった俺はそのまま夜を明かした。

4時頃までは起きていて女に抱きつかれていた記憶があったので
それから睡魔に耐えられずいつの間にか寝てしまってたんだろうな。

起きて女がいたと思われる左側を見てみると
ベッドのシーツにくっきりと人が寝ていた形跡があった。

そのとき、ベッドと壁の隙間に髪が挟まっていることに気が付いた俺は
なぜそうしたかは今でもわかんないけど、その髪を思いっきり引っこ抜いた。
ブチブチブチブチって抜ける感触がしたあとに
低い声で「うぅぅぅぅ…」とうめき声がベッドの隙間から聞こえた。

気味が悪いけどこの部屋を出るわけにはいかないので
部屋の四隅に盛り塩をしながらこの話を書いている。

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