- ゴミ捨て場の人形 -

ある女の子が母親に連れられて散歩していると
ゴミ捨て場でとても綺麗な新品同様の人形を見つけました。

女の子はこの綺麗な人形に一目ぼれしてしまい、
気味が悪いから持って帰るのはやめなさいと言う
母親の忠告など聞かずに家に持ち帰り部屋に飾りました。

その人形はまるでお姫様のような格好をしていて
目立つような所有された形跡はなく、
本当にお店で売っているものを飾ったと言っても
おかしくないくらい綺麗でした。

女の子はその人形をとても大事にし
毎日髪をとかしたり、服を着替えさせてあげたりしていました。
母親も新品同様でまだまだ綺麗だったし、
なにより娘がよろこんでいるようだったのでそのままにしていました。

ところが人形が家にきてから何日か経った後、
母親が家に帰ってリビングに入ってびっくりしました。
人形が姿見の前に立っているのです。

その奇妙な人形の行動は毎日続きました。

娘に聞いてみても「歩いたのね、えらいえらい」
と人形に話しかけるばかりで母親は終いには気味が悪くなり、
人形を捨てることにしました。

人形をゴミ捨て場に出した夜、
娘の帰りが遅いので待っていると
なんとビニール袋を何重にも重ねて
捨てたはずの人形をまた拾ってきたのでした。

あんなことがあった後なので
とうとう母親も参ってしまい、
人形を背中から引きちぎってしまいました。
そのとき、人形からパラパラっと落ちてくるものがありました。
それは恐らく「爪」でした。
爪と言っても爪きりで切ったような爪ではなく、
爪を丸ごと剥いだ感じで5cmはありました。

その爪は例えるなら
髪の毛を燃やしたときの様な異様な匂いを放ち、
まるで死体がそこにあるかのようでした。

母親はそれを今度は知り合いが
神主をしている神社に持っていきました。
供養してもらうつもりでいたのですが
神主が「これはうちでは供養できません」と絶対に譲らないので
仕方なくまたゴミ捨て場に出した日の事でした。

女の子が階段から落ち、背中を角にぶつけてしまい
縫うことになったのです。

母親はハッと気が付いて
捨てた人形をすぐに拾ってきて、
あの爪だけを取り出し、家にあった
比較的新しい日本人形に詰めてゴミ捨て場に置きました。

それからあの奇妙なことも
娘が怪我をすることもなくなりました。

これは友達から聞いた話なので真偽は分かりませんが、
今もどこかでこの爪の入った人形がゴミ捨て場で
拾ってくれる人を待っているかもしれません。

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